2014年に福岡県立美術館で開催された「とっとっと?きおく×キロク=」展に出品した映像作品。
「記憶と記録」をテーマとした本展のために、福岡にゆかりのある作家のご遺族に取材し、作家本人についての記憶を語ってもらったインタビューで構成している。
構成の着想には、沢木耕太郎のノンフィクション『壇』がある。
直接の証言者ではなく、故人を第三者が語ることで立ち上がってくる人間像――
記録でもなく、伝記でもなく、語りのなかからにじみ出る印象の断片を重ねることで、
一人の作家の人生を超えた、記憶の風景や時間の奥行きを描き出そうとした。
三人称で語られる言葉の重なりから生まれる、静かな物語。
それがこの映像の核になっている。