日常の延長にある表現たち

福岡・天神イムズで毎年開催されていた「ときめきアート展」。
その2015年開催時に、会場内で上映されたコンセプト映像を制作した。

この展覧会は、工房まるをはじめとする福祉施設やアーティストたちの表現活動を紹介する場として企画されたもの。
とはいえ、単に“障害がある人のアート”を特別視して紹介するものではない。
暮らしの中で、日々の中で、自然に生まれてくるかたちや色やことば。
そのひとつひとつに向き合いながら、「アートは誰のものなのか」「表現とは何か」をあらためて問う試みでもあった。

映像では、展覧会の企画に込められたそうしたまなざしを、できるだけ押しつけのないかたちで伝えたいと考えた。
表現は、特別な才能や劇的な物語だけに支えられているわけではない。
むしろ日々を過ごすなかで、ふと手を動かしたときに立ち上がるものにこそ、深いリアリティが宿っている。
その時間や空気を、ありのままに映しとることを目指して制作した。

展示企画:樋口龍二(工房まる)、黒松祐紀・川野達也(C.E.WORKS)